心身症について
心身症の現在の定義として、日本心身医学会では「身体疾患の中でその発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」というようにまとめられている。つまり心身症は、体の病気であって心の病気ではない、ということである。しかし、原因に精神的ストレスが大きく関わっているので、治療や再発防止のために、薬などの身体的アプローチだけでなく、心理的なアプローチも必要であることを示す言葉であるともいえる。
心身症の原因
心身症の定義にもあるように、心身症はストレスと身体障害の両方が原因となっている。職場や学校、家庭などにおけるストレスがきっかけとなって身体疾患に発展し、症状が出現する。
小児の心身症に対する理解と対応
・子どもが訴える身体症状は実際に体験されている実際のことである。
「診察や検査で異常が見つからない」=「病気ではない」ということではく、「ストレスが軽減すると症状が消える」=「仮病(詐病)」とういことでもない。
・心理的ストレスは必ずあるが、必ずしも子どもがそれを自覚しているわけではない。
子どもの「心配事や原因、気になることは何もない」を鵜呑みにしてはいけないし、子どもは「身体の病気」と認識していることが多く、「心の病」とみなされることに抵抗感や劣等感、罪悪感などを抱くことが多い。
・心身症には心身両面からのアプローチが必要。
身体症状に対するなんらかの対処やさまざまな配慮は必要不可欠である。その一方で、ストレスの原因を軽減したり、解決に向けた対処を行っていく必要がある。
・心理的ストレスは単なるきっかけであり、発症に至るまでにはその子どもと生活環境(家族や学校を含む)との交互作用の長い悪循環過程が必ずある。
・心身症に特別有効な治療方法があるわけではない。
|